キャリアカウンセリングを通じて、より良い社会の実現を目指してゆくには、企業(組織)活動の改善を通じての社会の改善を実現する必要があります。
企業活動を通じての社会の改善を目指す為には、「現代企業と現代社会の調和(CSR)」という視点から把握してみる事も大切です。この視点からは、いろいろな考察が必要ですが、一足飛びに論点を進めると、「企業の支配動機」と「誰がその行使を行うか」という点を認識する必要があります。
「企業の支配動機」が、「経済人仮説」に基づく、「利益至上主義」(外部不経済に無関心)であるならば、企業の活動を社会全体の改善に結びつける事が少し難しくなります。「新古典派経済学」の理論では、企業が利益追求を行えば、結果として市場での調節が図られ社会の最適点に落ち着くという事になっています。これは「本質主義的な立場」ではそう考えられるかも知れませんが、ここまでで整理してきたように「社会構成主義」の立場に立つと必ずしもそうとは言い切れません。事実、新型コロナウイルス禍(2020年)における社会の実態を見てみても、社会が個々の「企業の利益至上主義」を許しているようには見えませんし、個々の企業活動自体はもっと社会的な貢献を重視する動きの方が目立っているのが世の中の実体です。
「企業の支配動機」を実際に「誰が行使するのか」という点については、現代組織においてはテクノクラートの集団によって決定されることが多くなります(例 2020年のコロナウイルスの対策専門家会議、諮問会議)。テクノクラート集団の内部においても、それぞれのメンバーの相互作用によって意思決定が行われます。その為、「企業(組織)の支配動機」を改善に向かわせる為には、テクノクラートが属する組織文化≒ナラティヴやディスコースを変更する必要があります。どのように組織内のナラティヴを変えてゆくアプローチを行うかという事になると、キャリアカウンセリングを使っての「対話型組織開発」を行うというアプローチがひとつの解決策とななります。
キャリアコンサルティングが「対話型組織開発」に対応をする為には、「社会構成主義」を意識した「マインドセット」にてキャリアカウンセリングを行う必要があります。「傾聴とリフレクション」を主体とするキャリアカウンセリングは、社会構成主義やナラティヴ・セラピーとの親和性が高く「対話型組織開発」において面談を進める際に適していると言えます
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