第7回:バック・オフィスを用いた直面化のやり方
日立製作所における、内田洋行リゾート・オフィスでの「がち対話」の仕方
参考書:『プロセス・コンサルテーション-援助関係を築くこと-』エドガー・シャイン(著)、尾川丈一(訳)、白桃書房:2002
今週もOD寺小屋第七回が開催されました。今回もそこで受け取った事などを一部不確かな部分もありますが、まとめておきたいと思います。
今回は、「プロセス・コンサルテーション」に関してのお話でした。
プロセス・コンサルテーションについては、
・ウォーレン・ベニスの「マクロ・プロセス・コンサルテーション」と
・エドガー・シャインの「ミクロ・プロセス・コンサルテーション」があり、正確な理解の為には、「マクロ・プロセス・コンサルテーション」を理解した方が良いとのお話でした。書籍「リーダーになる(こうしてリーダーは作られる?)」の紹介がありました。
プロセス・コンサルテーションにおいては、コンサルタントがクライアントの組織(システム)内に入り、協働関係を築くことが大切であること。その為には、クライアント(従業員)とCEOとプロセス・コンサルタントが対等の位置(しっかりと対話が出来る)ことが大切であるというお話でした。シャインが指摘するレベルⅡの関係性を築くという事になります。
この点において、シャイン先生はこのCEOに対するExective Consultingが出来ないと組織開発がうまく行かないと考えられているようです。それぞれの組織の「希望」を確認するにはこの視点が重要になるからだと思います。この場合、「未来予測・変化予測」が大切になります。キャリアカウンセリング型組織開発®においても、組織のトップや上層部へのアプローチが組織の課題解決を通じた個人の支援について必須だと考えています。特に組織の目的となると、「マーケティング&イノベーション」が関連し、その実現の為のマネジメントをどうするかという組織経営論の知識が必要になると考えて、ある程度の基礎的な部分をこのホームページでまとめようとしています。
また、キャリアコンサルタントが介入する場合は、指示的な関係にならず対等な関係を築くことがここでも重要視されます。
「ひきこもり」支援等では、もちろんこの対等性が重視されますし、「原因がみえず」「効果的な結果が出ない時」は、支援を中断し、「観察」することが重要になります。また、クライアント自身での解決という視点も重要になります。クライアント自身の人間としての尊厳を認知する事が大切であるとのことでした。合わせて支援の原則ですが、意思表示されない課題に対しての支援をしない、ブリーフセラピーでいうと「カウンセラーが勝手に課題・問題を作り出さない」事の大切さも指摘されました。
また、その関係性の中でスーパーバイジングにおけるスーパーバイザーとスーパーバイジーの対等性の重要性も示されました。この意味において、先生は無料でこの勉強会を開催されているとのことでした。
企業や組織の支援においては、先の協働するという点において、クライアントの文化や環境を理解することの大切さが指摘されていました。この点に関しては、株式会社スコラ・コンサルタントの柴田昌治代表の書籍「なぜ、会社が変われないか」が、日本人の組織に対する風土や気質を考える上で、参考になるということでした。
支援においては、「グループの力での解決」や「周辺知識の活用」ということを強調されていたので、キャリアコンサルタントしてこれらに対応する為には、MRIブリーフセラピーを使う方が対応をしやすいのではないかと感じたので、その点について、尾川先生に直接質問をしてみました。この際には、先生のMRIでの経験の次のようなお話がありました。
(ジョン.H.ウイークランド、ドン・ジャクソン、ロート・コーディらの氏名が出たようにも思いますが、ちょっと不確かです。)
「当時銃撃事件があり、犯人と警官が緊張状態の中、セラピストが介入し、犯人に『銃をあっちこっち撃つのもいいが、何か言いたいことがあるのではないか。ここまで来たら逮捕されるが、そのことを解決しよう」と提案したそうです。犯人は納得し射撃を中止し、監察医として犯人のトラブルの解消にあたった。」という事があったようです。このように、「怒りと怒り」や「悪感情と悪感情」の介入には、MRIブリーフセラピーが役に立つという事例の紹介がありました。
ウイークランドが言っていたことの紹介として、「悪感情」も自己概念であるので、そこへの介入にはロジャーズの傾聴だけを用いるのは難しく、MRIブリーフセラピーの介入法の方が有効とのことでした。
組織・環境への対応では、クライアントの環境への介入として家族療法(MRIブリーフセラピー)が有効で、クライアントの一時的変化を出来るだけ引っ張って引き出し(解決努力の確認(パラドックス))、その上で、2次的変化の提案(カウンター・パラドックス)をすることが有効であるとのお話もありました。(参考)
最後に尾川先生のプロセス・コンサルテーションへの考えとして、
「好きな事をやる。楽しいことをやる。但し、doing=やることが大切」という点を、ユーチューバーとして世界の列車をアップし、特に70万円かけて「オリエント急行の食堂車の内容」をアップすることによりすごい再生回数となり、小田急電鉄のコンサルタントに抜擢された事を事例として紹介がありました。
他には、クルト・レヴィンの「外地の転換」(尾川先生が時間がない中、水を買いにいき、わからない振りをして、$20で優先的に水を買った話)やミルトン・エリクソンは必ず治ると信じてセラピーをしていて、水晶玉には必ず解決が提示された事などの話が出ました。
最後に野球の野村克也の考えとして、
「希望・その一球は度と来ない・勝つと思わないと勝てない」
という問題解決対する基本的な姿勢の確認がありました。