システム論(System Theory)とは、全てが全てに依存しているという見方です。要素還元主義では、「生気」とう概念で人体の全体性を把握する試みがなされていましたが、生物学的アプローチ(胃や心臓等の機能器官単体での存続はありえない)の観点から全体性を支配する法則をシステムと呼び始めました。
・システム概念(system) ⇒システムとして物事を見る
ものごと━━物体・事象・過程を把握する方法・見方・考え方
システムの3要件
〇全体
〇部分
〇相互依存・相互作用
システム概念の要件としては、
「全体」(whole)(ひとつのまとまりある全体とみなす)、「部分」(parts)/「要素」(element)(全体が部分/要素によって構成されているとみなすこと)、「相互作用」(interaction)/「相互依存」(interdependency)(部分/要素がなんらかの相互作用/相互依存の関係にあるとみなすこと)から全体システムが成り立ちます。あらゆるものごと(物体/事象-過程等)を把握する方法です。
・システムはその外部環境に適応する必要があります。
・システムは外部環境に対して、インプットとアウトプットの均衡がとれている必要があります。
・システムは均衡と不均衡な状態があります。
システムとして、自動的に調整される動きも起こります。
ルートヴィヒ・フォン・ベルタランフィ(Ludwing von Bertalanffy)が ”GENERAL SYSTEM THEORY 1968年(ベルンタラフィ「一般システム理論 みすず書房)にて示したのは、メイシー (macy) 会議(通称サイバネティック会議)(1945年~1953年の計10回)の議論の中で提唱された科学理論です。無生物・生物・精神過程・社会過程のいずれをも貫く一般原理の同型性の根拠を究明し、それを定型化する新しい科学の分野として出現しました。
ここには、ブリーフセラピーにも関連してくるグレゴリー・ベイトソンも参加していました。
ちなみに、一般システム理論による「システム」とは、以下のようになります。
・相互作用する要素から成り立つ全体⇒システムは、互いに作用している要素からなるもの
・システムは部分に還元することが出来ない
・システムは目的に向かって動いている
・ひとつのシステムに中に、複数の下位システム(subsystem)が存在する
・下位システムは、相互に作用しながら調和し、全体としてまとまった存在をなしている
(上智大学 ソフィア・コミュニティ・カレッジ
「組織行動論」2004年秋・「企業と社会」2013年春の講座内容より作成)
ここで、組織論について当てはめてみると、「組織(全体)」は個々の「構成員」によって成り立っています。その「構成員」がそれぞれの「経験」に基づいて、「相互に会話を重ねる相互作用」を続ける事により、組織の中に「ディスコース」が形成され、それが「組織の全体性」やその組織の特性を形作ってゆくと捉えています。
組織の中には様々なシステムレベルがあります。
組織の中には、下位システムとして部があり、
部は、課などのチームで構成されています。
チームは個人で構成され、個人も「論理」「理性」「身体」「感情」等の各システムで構成されています。
どのレベルの中のどのような要素が、どのように影響しあっているのかを見定めるのが、組織開発では大切にされています。
参考)組織開発の探求━理論に学び実践に活かす 著者 中原淳+中村和彦 ダイアモンド社(2018年10月) P173より