組織論などを参考にして日本国内で実践する時に注意しないといけないことは、カウンセリング理論も含めてアメリカ社会等海外の社会状況の中で作られたということを意識することだと思います。特に、日本の組織については注意が必要です。そんな時に参考にすべきなのがこの「失敗の本質」でです。組織の話をする時には、参考図書として出来れば読むように勧めています。ただ、年齢が下がるにつれて、第二次世界大戦の日本軍の作戦行動にそんなに詳しくない為に判りにくいようで、そんな場合は後に出た解説本を勧めるようにしています。日本で組織に関してのキャリアコンサルティングを行うなら、日本の組織文化の特徴は押さえておいた方が良いと思っています。
戦後70年以上もたつが、日本の組織の弱点は、ここの広告にあるように「曖昧な指示」「データの曲解」「前例重視」「論理よりも空気」などです。これらは、現在の「新型コロナウイルス対策」でも遺憾なく発揮されているように感じます。さらに、「兵站の軽視」「精神主義への偏向」「戦略のなさ、戦術頼り」「戦力の逐次投入」などもあります。新型コロナウイルスという大きな山を更に延長してのり越え続けるにあたって、告知した時点での最前線である事業への追加の補償案もなく、「忸怩たる断腸の思いで国民に皆様の不断の努力にお願いする」という姿勢は、食料の補給もなく兵士の奮闘のみに期待し失敗した「インパール作戦」を思い出させます。また、日本に上陸し小銃で向かってくる米軍に対して、子女に竹やり訓練をし、本土決戦を強行しようとした歴史的事実も思い起こさせます。また、2020年の6月には東京の新宿界隈まで追い詰めたコロナウイルスを一転し経済の為と反転拡大させた政策は、レイテ沖海戦の栗田艦隊の謎の反転を思い起こさせます。
国の指導者層の年齢だと日本軍の敗戦の流れも知っているし、若い時には振り返って反省もしていたとは思われますが、結局、日本人は組織の戦略を結果(失敗の本質)からしっかりと再構築せず、その時々の場の雰囲気で決めてゆくやり方が脈々と失敗の文化として流れているようで、残念でなりません。
同じ流れの中で、「安倍のマスク」や「Gotoなんとか」は市場に政府が人為的に介入をすると、あまり良い結果にならないというミルトン・フリードマンの指摘も思い起こさせます。